大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和61年(わ)793号 判決

本店所在地

大阪府八尾市八尾木北三丁目二二〇番地

商号

株式会社ノムラクリーニング

代表者

野村實

本籍

大阪府八尾市山本町北三丁目二二番地

住居

大阪府八尾市山本町北三丁目九番四号

会社役員

野村實

昭和一一年七月二六日生

右両名に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官藤村輝子出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社ノムラクリーニングを罰金七〇〇万円に、被告人野村實を懲役八月に各処する。

被告人野村實に対し、この裁判が確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社ノムラクリーニング(昭和五九年八月一日、商号を株式会社野村クリーニングから株式会社ノムラクリーニングに変更。以下、被告法人という。)は、大阪府八尾市八尾木北三丁目二二〇番地に本店を置き、クリーニング業を営むもの、被告人野村實は、被告法人の代表取締役として業務全般を統括しているものであるが、被告人野村實は、被告法人の業務に関し、法人税を免れようと企て、

第一  昭和五六年九月一日から昭和五七年八月三一日までの事業年度における所得金額が五九五七万二一一八円(別紙修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が二二三五万五二〇〇円であるのにかかわらず、架空の荷造包装費、消耗品費を計上するなどの行為によりその所得の一部を秘匿したうえ、昭和五七年一一月一日、大阪府八尾市本町二丁目二番三号所在の所轄八尾税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が三五三五万三五一九円で、これに対する法人税額が一二一八万三三〇〇円ある旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度の法人税一〇一七万一九〇〇円を免れた

第二  昭和五七年九月一日から昭和五八年八月三一日までの事業年度における所得金額が一億〇六九六万八七一六円別紙修正損益計算書参照)で、これ対する法人税額が四二一九万五二〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為によりその所得の一部を秘匿したうえ、昭和五八年一〇月三一日、前記八尾税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が七〇七〇万三七六八円で、これに対する法人税額が二六九六万三九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、右事業年度の法人税一五二三万一三〇〇円を免れた

第三  昭和五八年九月一日から昭和五九年八月三一日までの事業年度における所得金額が九八九〇万〇一五三円(別紙修正損益計算書参照)で、これに対する法人税額が三九九〇万二二〇〇円であるのにかかわらず、前同様の不正行為によりその所得の一部を秘匿したうえ、昭和五九年一〇月三一日、前記八尾税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が七一九〇万六〇一二円で、これに対する法人税額が二八二一万三八〇〇円である旨の虚偽の法人税申告書を提出し、もって、不正の行為により、右事業年度の法人税一一六八万八四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告法人代表者及び被告人野村實の当公判廷における供述並びに大蔵事務官に対する質問てん末書九通及び検察官に対する供述調書三通

一  大蔵事務官作成の査察官調査書(昭和六〇年六月一〇日付のものを除く二六通)、証明書二通及び写真撮影報告書二通

一  井上勲郎の大蔵事務官に対する質問てん末書九通及び検察官(昭和六一年三月六日付及び同月一〇日付のものを除く五通)に対する供述調書

一  柴田澄子の大蔵事務官に対する質問てん末書二通及び検察官に対する供述調書

一  野村英樹、藤原正幸、澤藤宏、西川正夫(二通)、小柳秋男の各大蔵事務官に対する質問てん末書

一  井上勲郎作成の確認書

一  国税査察官作成の写真撮影報告書三通

一  登記官作成の登記簿謄本

一  被告法人代表者及び被告人野村實作成の定款写し

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検察官請求証拠等関係カード番号1)

一  八尾税務署長作成の法人税確定申告書謄本(右カード番号4)

判示第二の事実につき

一  井上勲郎の検察官に対する昭和六一年三月六日付供述調書

一  中田ヤス子の大蔵事務官に対する質問てん末書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(前記カード番号2)

一  八尾税務署長作成の法人税額確定申告書謄本(右カード番号5)

判示第三の事実につき

一  井上勲郎の検察官に対する昭和六一年三月一〇日付供述調書

一  福田文男、海田幸徳、小林隆、川本実の各大蔵事務官に対する質問てん末書

一  榊原文江、桑折寛、山田真治、川嶋幸治、浜崎正幸、仲文男、森川光雄、下野治男、小林隆、伊東数美、中井常夫各作成の供述書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(前記カード番号3)

一  八尾税務署長作成の法人税確定申告書謄本(右カード番号6)

判示第二、第三の各事実につき

一  大蔵事務官作成の昭和六〇年六月一〇日付査察官調査書

一  保田尚夫の大蔵事務官に対する質問てん末書

(法令の適用)

被告人野村實の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役八月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。

被告人野村實の判示各所為はいずれも被告法人の業務に関しなされたものであるから、法人税法一六四条一項により同法一五九条の罰金刑に処すべきところ、判示各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告法人を罰金七〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 上原茂行)

修正損益計算書

自 昭和56年9月1日

至 昭和57年8月31日

〈省略〉

〈省略〉

修正損益計算書

自 昭和57年9月1日

至 昭和58年8月31日

〈省略〉

〈省略〉

修正損益計算書

自 昭和58年9月1日

至 昭和59年8月31日

〈省略〉

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例